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旅日誌201 0

2010年7月31日(土)〜8月26日(木)マウテルンドルフ  

 マウテルンドルフのシンボル、マウテルンドルフ城 

  (ここでは昨夏とは違う内容でご紹介します。旅日誌2009と一緒に読んで    頂くと、全体がつかみやすくなるかと思います)                  
   
昨夏の宿がとても気に入ったので、今夏もマウテルンドルフの同じ宿を取った。しかも今年は2週間ではなくて3週間の予定。5,6月の入院で集中的な抗生物質治療を受けて、免疫力が谷底に落ちたくらい下がってしまったので、転地療養で医学的効果が上がるのは3週間の滞在から、という理論に従って、3週間にし、体力回復を図ろうというわけだ。

 最初の3日間くらいは山の空気と、900mものウィーンとの高度差に慣れるのにとても疲れるのだけれど、今回はよっぽど体力が落ちていたらしく、体がその負担に耐えられずに熱が出てしまったので、最初の5日間ほどはマウテルンドルフに留まり、ゆっくりと過ごし、そのあとおもむろに行動を開始した。

 マウテルンドルフのカフェ。この先をまっすぐ
  7分ほど行くと、マウテルンドルフのシンボル、マウテルンドルフ城に着く。


                       
                
)St.マルガレーテン

 さて、まずは近いところで、隣町のSt.マルガレーテンにこの地方特有の
古いアインホーフ型(一つの四角い建物の中に家畜小屋など全てが収まっている) 農家が見学できるというので行ってみたけれど、残念ながら開館時間外に行ってしまったので、中に入れず、周りをぐるっと回って見学しただけ。写真でもわかるようにとても奥行きの長い建物で、かなりの大きさだ。窓辺の花が愛らしい。窓辺やバルコニーに花をこぼれるようにいっぱい咲かせるのは、オーストリア中、どこも同じ。
 


)ツェーダーハウス

  今度は少し山奥の方に行ってみることにする。マウテルンドルフから北西方向へ車でおよそ1時間。エメラルド色のシュリーラー湖に着くと、木彫りの鍵をくわえた変わった犬の像がある。説明を読んでみると、これは湖の向こうに聳える山、リーディングシュピッツェ(2266m)の宝を守っているという伝説の犬。口にくわえている鍵を奪うことができれば、宝物を得ることができるが、奪いそこねた者は命を落とすという。そして今だかつて戻って来た者はいないそうな。

             
 
  シュリーラー湖からさらに奥へと谷を巡るバスが出ていて、素晴らしい景色だというので、20分ほどバスに揺られ、一番奥まで行ってみた。わあ〜、気持ちいい! 

                     

 少し散歩をしてから、山小屋でお茶を飲みながら女主人とおしゃべり。バスは1時間おき。

上の写真とは反対側の景色


  
)タムスヴェーク

    
今日はタムスヴェークにディルンドゥルを買いに。でもその前にホーホライトナーに寄って、レスティを味わう。                        

                      
                     
 

 去年、ロングのディルンドゥルを買ったので、今年はスカート丈の短いのを買おうと、昨年のお店へ行った。でも、丈の短いのにはいいのがなくて、昨年と同じ店員さんのアドバイスを受けて、結局去年のとは胸の切り替えのデザインが異なる、渋いローズ色のロングのザルツブルク風ディルンドルに決めた。

  ディルンドゥルのデザインは、谷ごとに異なると言われ、胸の切り替え、肩ひもの形、ブラウスのデザイン、エプロンの縞の色の組み合わせなど、各土地固有のデザインがあり、非常に豊かだ。共通しているのは、ウェストから胸までの上半身はできる限り細く見えなくてはいけない、ということで、かなりピッチリときつくできている。そのためブラウスも胸の下までしかない。
また、スカートにはこれ以上取れない位いっぱいのギャザーを寄せるので、かなりたくさんの布地が使われており、ロングだとかなり重い。というわけで、決して着ていて楽とはいえないし、涼しくもない。まあ、日本の着物も楽じゃないから同じね。

 でも今度のディルンドゥルは昨年の布地より、薄く軽いので、着ていて比較的楽。今度はどこも直さずそのままでピッタリ合った。ディルンドゥルにはまた、絹でできた豪華な祝祭日用や結婚式用のものもある。ディルンドゥルが素敵だと思うのは、3歳の女の子でも、80歳のおばあちゃまでも、太っていてもやせていても、誰にでも似合うということ。日本の着物もそうだから、民族衣装って、そういう性格を持っているのかも知れない。

  宿の女主人はまたまた大喜びしてくれて、ひとしきりディルンドゥル談義が弾んだ。そこへバルコニーから宿泊客のご夫婦が顔を出して、「すごく似合ってるね、って話してたところなんだ」「とってもすてきよ!」などと褒めてくれながら、話に加わった。オーストリア人は人を自然に褒めるのがとても上手だ。日本人は照れてしまって褒めるのが下手なので、私もだいぶ訓練を積んだつもりなのだけれど、成果は出ているかしら。やっぱりよいことは、思ったら言う方がいい。だって誰だって褒められたら嬉しいでしょ?彼らはまだウィーンから着いたばかり。山歩きが目的で、毎年同じ時期にここに来るのだそうだ。この宿はかなり常連が多いらしい。車のナンバーを見るとオランダからも来ている。オランダにも北ドイツにも山はないから、山好きはかなり遠い旅をして、ここまでやって来るのだ。

  となりの祠のようなのは、日本で言えばお地蔵様のようなもので、
   聖人が祭られている。このすぐ後ろが水路になっているので、水を守ってくれる聖人なのかも知れ   ない。

  

)マウテルンドルフ

  8月15日はマウテルンドルフでサムソン行列があるというので、見に行った。近辺の各町や村でサムソン行列が行われるが、サムソンの衣装は各町村が工夫を凝らしたもので、みな違う。(サムソン行列についての詳しいことは、どうぞこちら旅日誌2009をご覧下さい。)

    
 行進するサムソン         ダンスを踊る民族衣装保存会の人たち

 マウテルンドルフは中世、イタリアからザルツブルクへ抜ける道筋にあって、商業の町として栄えた。15世紀に建てられたこの美しい家は、イメージとは随分かけ離れるが、と殺(「と」の漢字が出ない!)した牛や豚の肉をさばいたり、裏の川(下の写真)で洗ったりした家なのだそうだ。そしてこの橋の上で食肉市が開かれたという。

   

食肉市の開かれた橋

 今回は1週間伸ばして3週間滞在にしたので、ゆっくり休養することができ、医学的にもはっきりした効果が上げられたように思ったのに・・・。

  ところが、ところが・・・。山の8月下旬はもう秋の始まり。帰る間際になって、朝の気温が5℃だったり、8℃だったりというびっくりの寒さになって風邪を引き、それが例の熱に移行して帰れなくなってしまったため、滞在を延長させてもらって、5日遅れの26日に帰宅した。

  結局4週間近くいたことになったけれど、とにかくこんなにストレスから解放されてのびのびと楽しめた休暇はなかった。今までは1週間、あるいは2週間だったので、3週間との違いが体で感じられたし、それはきっと検査結果として出てくるはず。それまでは、健康な食事に気をつけて、少しでも検査結果がよくなるようまじめにがんばることにしよう。

 

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