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　　　　　　　　　　　・ウィーン季節便り2004年1月・

　　
　　　　明けましておめでとうございます

　　　　　　　　
　　　　　　　　お菓子屋さんの舞踏会 ― オープニングで踊るデビュタントたち

　　　　　　　　　　　　　2004年元旦

大晦日の花火、爆竹の賑やかな音の中で、新年の時報とともに「美しき青きドナウ」が流れ出すと、用意しておいたシャンパンで新年の乾杯！　2004年が始まりました。そのあともひとしきりのおしゃべりの後、まだあちこちから響く花火や爆竹が聞こえる中、床についたのは3時頃。

　　朝は10時頃起きて、午前11時から恒例行事のニューイヤーコンサートを聞きました。今年指揮棒を振るのはリカルド・ムーティ。前半はいつものような軽やかさが見られず、楽団員たちのいかにも演奏が楽しくて、という表情も見られなくてどうしたのかな、と思いましたが、後半はのってきてニューイヤーコンサートらしさが感じられるようになりました。日本でも今、みんなこのコンサートを見ているんだ、と思うと不思議な気がしました。今年はバレーのシーンが少なかったのが残念。気温はー1度くらいで、相変わらずの曇り空です。でも後ろから追いかけられる仕事のない、本当にホッとした休日です。

暮れから開かれ始めた舞踏会がこれからいよいよ本格的になります。３月初めくらいまで、王宮を始め、ホテルやあちこちのホールで毎日のように開かれます。老いも若きもおめかしして、夢のような非日常を味わうウィーン風カーニバル（オーストリアではファッシングと呼ばれます）の季節の始まりです。

雪の翌日の住宅街雪に覆われた中庭駐車場の車

4日の夜から降り始めた雪は5日中降り続け、6日の朝の駐車場はご覧の通り。交通安全のために雪かきが大切な仕事になります。道路の安全のため一晩中除雪車が走り、住民の安全のため、管理人さんは降り続ける雪の中、一日中何度も零下1度の寒さの中で、通路の雪かきをしていました。気温が低いので、一度降った雪はなかなか溶けず、通りに雪を残しておくと凍り付いてしまって、車のスリップ事故や人の転倒事故が起こり、とても危険です。人が転倒して怪我をすると、その通りの管理責任のあるマンションの持ち主は治療費を払わなければいけないんだそうです。6日は気持ちよく晴れたよいお天気になりましたが、とても寒く、空気が刺すような冷たさ。夕方にはなんと－１２℃になりました。

その寒さの中、楽友協会ホールへ合唱コンサートを聴きに出掛けました。ニューイヤーコンサートが開かれたのと同じホールです。華やかな雰囲気の中でしばし外の寒さを忘れ、音楽の楽しさに浸りました。

　　　　　　　　　　　　　　楽友協会ホール　　　　　　　　　

さて、こちらはもう一つのコンサートホール、「コンツェルトハウス」の小ホールの一つ、モーツァルト・ホール。内装は、白とグレーがかった薄いブルーに、縁取りが金の、優雅で落ち着いた感じです。たまたま中世音楽を聴く機会に恵まれて、行って来ました。中世音楽をコンサートで聞くのは初めてだったのですが、タンバリンやスティックを使った、リズミカルで楽しい音楽がたくさんあると知ったのは新鮮な大発見！　考えてみたら、中世の人だって、宗教音楽ばかり聴いてたわけはないのよね。昨年夏に訪ねた、ザルツブルク州の中世のお城の騎士の間で、楽士の演奏を聴きながら楽しんでいる中世の人たちが、目に浮かびました。しかも今回のアンサンブルの人たちは、本当に中世音楽が大好きで、心から愛して演奏しているのが私たち聴衆にもとてもよく伝わってくる素晴らしい演奏で、アンコール曲の頃には、私たち聴衆の気持ちは、まるでロックコンサートみたいにノリノリになっていました。大拍手を心から喜んでいたアンサンブルの人たちの様子にもすごく好感が持てました。

コンツェルトハウス、モーツァルト・ホール

今月最後の３１日は、シューベルトのお誕生日。友人のてるみさんも同じ日がお誕生日で、この日彼女はウィーンで初めてのリサイタルをシューベルトの生家で開きました。つまり彼女のウィーン本格デビューです。９０の座席はコンサート前からとっくに売り切れ。それで、４月１８日にももう一度コンサートを開催することになりました。私は長いことウィーンに住んでいたのに、会場のシューベルトの生家に行くのは、恥ずかしながら初めて。ホールは、横には５,６人しか座れず、縦に長～い不思議な形です。一体、昔は何に使われていたのかしら？
　　コンサートは前半は、モーツァルトとシューベルトの、いわゆるドイツ・リート、
後半がオペレッタ・メロディーという構成。前半では昨年の４月と同様、「糸をつむぐグレートヒェン」が特に印象に残りました。ドラマティックな内容を、聴く人の心に深く訴えるように歌い上げる力は、さすがです。ドイツ・リートだけの彼女のコンサートも聴きたい！と思いました。後半は、軽やかにのびやかに、オペレッタとウィーンの歌のメロディー。エンターテイナーとしての側面を大いに発揮。聴衆の表情もほころびて、心から楽しんでいるのが、よくわかりました。

　　　リサイタル終了後、聴衆から誕生祝いを受けるてるみさん
　

終了後は、たくさんの人たちからの花束とお誕生日おめでとう！のラッシュ。花火が出るろうそくの点火は残念ながらうまく行かなかったけれど（写真のケーキの上のろうそくです）、みんなでお誕生日の歌を歌い、てるみさんは最高のお誕生日を迎えられたみたい。おめでとう、てるみさん！お誕生日にウィーン本格デビューの成功が飾れて！これからも精進して、もっともっと大きな歌手に育っていってね！みんなで応援しています！　
　　シューベルト生家の向かいのお店で、そのあとてるみさんのお誕生日とリサイタルの成功を祝ったのですが、参加者が多くて、もういっぱい！　そこで私たち６,７人の日本人グループは、しかたなく別行動。旧市街を囲むリング通りに最近できたラーメン屋さんで、乾杯しました。ところで、最近ウィーンにラーメン屋さんが次々とできているの。ヌードル・スープということで、自然に受け入れられるのか、地元の人が相当入っています。
　　
　　３月１３日（土）にはてるみさんの実家のある藤沢で、第３回リサイタルが開かれます。京浜地方の方は、ぜひお出かけ下さい。

　　島てるみ　ソプラノ・リサイタル
　　　　2004年3月13日（土）　14：00開演　（13：30開場）
　　　　藤沢市民会館大ホール
　　　　チケット：　前売り　2,500円、　学生　1,500円
　　　　　　　　　　当日券　3,000円

　　主催：島てるみの音楽を支援する会
　　　後援：オーストリア大使館、藤沢市教育委員会、洗足学園音楽大学
　　　お問い合わせ：　Ｔｅｌ＆Ｆａｘ　0466－36－1340（事務局）

　　　チケット取り扱い：　辻堂のばら書店0466－36－7339、
　　　　　有隣堂藤沢ミュージックセンター0466‐26‐2794、
　　　　　ヤマハ藤沢店0466－27－0231、ヤマハ横浜店045－311-1202

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